ご支援のお願い:「いわき放射能市民測定室 たらちね」トリチウム、ストロンチウム90の測定器購入資金

「いわき放射能市民測定室 たらちね」Facebookページより海洋調査の様子を掲載させていただきます。
※以下の内容は、「いわき放射能市民測定室 たらちね」事務局長の鈴木薫さんのメッセージを転載させていただいたものです。

いつもお世話になっております。
たらちねでは、2015年4月15日からベータ線核種測定ラボがスタートし、テクニカルマネージャーの天野光先生の指導のもと、日々の測定の精度を上げることに精進しております。

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最近の出来事です。
いわき市にはチェルノブイリ級の汚染、といわれる地域があり、そこには水道がひかれておらず、これまで井戸水や山水で生活水をまかなってきました。
地域の人々は、事故から5年経つ今も、これまでの山水や井戸水で生活をしています。
原風景そのままの、すばらしく美しい土地ですが、放射線量は今現在も5μ、10μという数字も珍しくないことになっています。

この5年間、地域のみなさんは水に対する不安を抱えながら、洗濯・洗い物・お風呂は山水を使用し、料理は近所の家から井戸水をもらって使用する、など工夫されて生活してこられました。
(近所といっても、車で3分~5分走る距離です)

いわき市の事故時の対応から、その地区は保障の面で孤立し、今もこれといってケアがされておりません。
たらちねでは、これまでホールボディカウンター測定や、食材の測定等で、その地域のみなさんと交流し、この5年を過ごしてきましたが、ベータ線測定ラボの開設を機会に、その測定精度が上がったことから、生活水の測定にも取り組むようになりました。

先日、2軒の山水使用のご家庭の測定からセシウムとトリチウムが検出されました。
ご本人へのお知らせはもちろんですが、市役所の原子力対策課にも知らせ、また、そこから水道局と保健所にも知らせがまわりました。

国の基準値の10ベクレルは大きく下回りますが、よほどの汚染でないかぎり、特にセシウムの数字はでないのが通常です。
それがでたということは、早急な対応が必要ということです。

いわき市からは、「それを知ったところで、次の対応(水道を引くとか、深い井戸を掘るとか)が決まっていないし、個人の家に対して行う予算もとっていないので、対応はできないが、たらちねさんでは、その情報をご本人に知らせるんですか?」と尋ねてきました。

もちろん、お知らせするのは当然であり、その時点ですでにお知らせは済んでいましたので、そのように返答し、「知らせた」という返答をいたしました。
市の担当の方は、ちょっと驚いた様子でした。

いわき市の水道水は、環境省のマニュアルに従ったゲルマニウム半導体での検査(下限値1ベクレル、ゲルマ測定)の他に、3ヶ月濃縮法で下限値0.01ベクレルまで下げた検査を行っています。
その検査を、この地域に適用していたならば、かならずセシウムは検出されるはずでしたが、これまで行っていなかったのでわかりませんでした。
高線量の地区で、汚染の状況からするとリスクは大きいのに、他の地域では行っている検査を、そこではやっていなかったということです。

その後、その地域のみなさんとたらちねで相談をし、今後、順次水の測定を行っていくことに決定しました。
そのことで、昨日、そこの地域を訪ねましたところ、「数日前にいわき市から生活水の放射能検査に来た」、という話を聞きました。

「たらちねで、言ったからだっぺ。」と地域の方はおっしゃっていました。
おそらく、そうだろうと思いました。
たらちねでは、データは公開が原則なので、そのデータもすでに公開されておりますし、これからストロンチウム90の測定も行う予定です。
それも公開いたします。

この5年間、水のことは、ほったらかしにされていたのに、たらちねの測定活動をきっかけに市が検査の必要性を認め、地域に立ち入ったことは大きな成果だと思います。
そのあと、安全で安心な水を供給できるシステムを構築する対応まで進むことが望ましいと思うのですが、それは対応の様子をみていかないとわからないと思います。

したがって、予定通りたらちねの測定は続行いたします。
セシウム、ストロンチウム90、トリチウムの3核種の測定になります。
いわき市にはベータ線核種をはかるシステムもないですし、国は地方の自治体にその測定を行う許可をだしていません。
とはいえ、市の独自の判断で行うことが絶対に不可能ではないですが、現状ではそこまでできる力が、行政にはないと思います。
外注での測定を行うなど、やる気の問題ではあると思いますが。

ここの土地では、自己防衛策として子どもたちを自主的に避難させています。
ですから、子どもはおらず、残っているのは年寄です。
若い人たちは、地域の除染活動に参加していますが、安全なところに引っ越し居住し、仕事のときだけここに戻ってきています。

しかし、この土地と同じ線量のところに、子どもが普通に暮らしている場所は、福島県内にとてもたくさんあります。
それらの土地も汚染地域として指定されているわけでもなく、保障のケアがないところが多く、普通に生活しています。
そういう場所に居住している人々は、自分たちの土地の情報を知り尽くしている上で暮らしているのではありません。
充分な情報が得られていないのが現状です。

行政の対応が十分でないことを含め、人々が得られる情報に限りがあることを考えると、たらちねの測定が本当に責任のある重要なことだと実感いたします。
特に、測定できる機関がほとんどないベータ線核種については、正確で迅速な測定が求められます。
現在、たらちねのベータラボの測定スケジュールは、試料の申し込み状況が立て込んでいることから3ヶ月待ちの状態です。
測定器が1台しかないため、測定器待ちの状態です。

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トリチウムやストロンチウム90は福島県以外の場所からも検出されることから、県外からの測定依頼も多くあります。
できるだけ緊急性のあるものから優先順位をつけておりますが、それでも、なかなか消化できません。

したがって、たらちねでは、トリチウム、ストロンチウム90の測定器を1台増やすことを計画し、現在購入の資金を集めるためにいくつかの御支援者・団体に相談をさせていただいております。
また、測定器の測定スケジュールの問題と合わせて、測定の精度の問題もあります。
飲料水や、食品の濃度は原発近隣の土壌や汚染水の測定と違い、かなり低く厳しいところを測定するようになります。
微量でも数字として残すことがとても重要です。
そのためには、検出下限値が低いほうが望ましく、その能力のある機種が必要だと考えています。

たらちねの測定した結果をもとに、行政が関わっていくことは前向きなことですが、一方で、たらちねの測定の精度の正確さを問われる厳しい状況に進むことも当然の成り行きです。

本日、福島原発の汚染水濃度が、1年前の4000倍というニュースが流れていました。
(大きく取り上げられてはいません)
たらちねでは、海洋汚染の調査も継続していますが、これも、陸から1.5km以内に入ることはできません。
(1.5km以内は東電の敷地内となっています)
たらちねの測定は、定点観測なので変化をみることができますが、サンプリングの場所が陸から遠いことから、データをだすのに不利になり、そのため測定の精度が需要になります。
海の汚染データを一般の人々と同じ立場で取っているのはたらちねだけです。

たらちね海洋汚染の調査

長々と書きましたが、これらの事情から、放射能測定機器の購入のため、みなさまからお力をいただきたいと希望しており、どうかお願いを申し上げます。
測定器はアメリカ・パーキンエルマー社製のカンタラス、2000万円です。
高額な機器であり、多くのみなさまのお力がなければ購入にいたりません。

機器の性能、事業についての必要性や、そこに至る経緯の計画書はご連絡いただければ送らせていただきます。
どうか、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

たらちね事務局
鈴木薫

いわき市にあるNPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね http://www.iwakisokuteishitu.com/

※未来の福島こども基金では、
たらちねへの寄付金も受け付けております。
以下よりチラシをダウンロードしていただくか、郵便局備え付けの振込用紙をお使いください。
その際、余白に「たらちね支援」とお書きください。

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