原発“安全”神話を覆す健康調査結果(The Japan Times)

「ジャパンタイムズ」(2014年7月3日付)の記事をご紹介します。

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原発“安全”神話を覆す健康調査結果

茂木敏充経済産業大臣、そして安倍内閣の皆様へ

 福島原発事故の終わりが見えないなかで、依然として原発安全神話の最後の砦――事故さえ無ければ原発は安全――に固執されておいでのようですが、事故がなく正常に運転している原発の周辺住民への健康被害の重大さには、お気付きでしょうか?安心安全な被曝量などは存在しないということもご存知でしょうか?
 また、日本ではアメリカで起こったような傷んだ地下パイプからの放射性物質の漏えい事件は想定外だと確証できますか?
 今後再びの重大原発事故の可能性をものともせず、安部内閣の皆様は、頑なに原発再稼働に突き進むつもりですか?
 以下のような例証をとくとご覧ください。

■2007年発表ドイツでの調査 ”Childhood Cancer Rate Near Nuclear Power Plant”(ドイツ放射能防護連邦事務局/Germany’s Federal Office for Radiation Protectionによる)
 ドイツ国内16か所の原発周辺での24年間(1980年~2003年)の小児がん発生率統計では:

・この調査結果には、16か所の原発周辺地域に住む小児がん患者1592人と対照者(controls)4735人が含まれる。
・全ての立地周辺地域で、原発に近づくほどに5歳以下の小児がん発生リスクが増加した。
・リスクは5㎞以内で最大(60%)となった。
・5㎞以内では77人にガンが発生し、全独平均の47人を大幅に上回った。
・白血病のリスクは120%の37件で、全独国内平均は17件だった。
・すなわち、5㎞以内では29人(うち20人が白血病)にガンが発生し、その原因は立地周辺に居住したためだ。
・これら周辺地域では、統計推定人数+275人もの人々がガン患者になった。
・正常に運転されていても原発からは、継続的に放射性物質が環境(空気や地下水)に放出されている。
・異常な数の小児ガン発生の原因は胎児期に始まっている。この時期は放射線などに特に敏感で、細胞分裂が盛んなためダメージを受ければあっという間にその数を増やしていく。

■2006年発表 イギリスでは某環境コンサルタント団体とウェールズS4C放送局/Welsh broadcaster S4Cが共同で1996年から2005年まで、北ウェールズに立地するTrawsfynydd原発の周辺住民約1000人(年齢層、性別制限なし)に聞き取り調査を行った:

・50歳以下女性の全種類のガン発生率は、全英平均の15倍。
・50歳~61歳女性の乳ガン発生率は全英平均の5倍。
・総じてこの地域のガンのリスクは全英平均の2倍となった。

■今年3月20日付の米紙the Cape Cod Timesは、Richard Clapp氏(1980年より、マサチューセッツ癌登録局/Massachusetts Cancer Registryのディレクターを務めた)の法廷での証言を掲載した:

(1)任期最初の2年間(1980年~1982年)で、白血病の過剰発生を確認した。
(2)Pilgrim原発近くのPlymouthとその周辺地域に住む住民及び原発労働者のガン発生増加数は、任期以前の数の4倍になった。

■今年3月4日付のthe Cal Coast NewsはNPO団体のワールドビジネスアカデミー/World Business
Academy・経済シンクタンクが作成した報告書(カルフォルニ州サンルイス・オビスポ郡に立地するDiablo Canyon 原発に関する)によると:

・この原発から半径25㎞以内の住民の中で、あらゆる種類のガン-甲状腺ガン、乳ガン、メラノーマ(黒色腫)など-の発生が著しく増えた。
・この地域でのメラノーマの発生率は州平均の3.6%超だったが、今では州平均の130.2%超というカルフォルニア州全域のなかでの最高の数値となった。
・1980年代半ばに運転開始されるまでは、サンルイス・ビオスポ郡のガン発生率は比較的低かったが、今ではカルフォルニア南部の20の郡のなかでガン発生率最高地域となった。
・具体的には、2001年~2010年の間に新たに738人がガン患者と診断された。
・発生率はカルフォルニア州平均値より0.4%下だったが、州平均値を6.9%超えた。
・運転開始以来、乳幼児死亡率と小児ガン・思春期ガン死亡率が著しく増加した。
・安全な被曝量は無い。いかに微量であろうと放射性物質は着実に体内に蓄積されていく。

■米紙The Associated Pressは近頃、下記のような調査結果を発表した:

(1)全米の商業原発の3/4の原発敷地で放射性トリチウムの漏えいが確認された。
(2)多くの場合、地下パイプの破れからもれ出た放射性トリチウムが地下水に流入した。
(3)米原発の老朽化が進むにつれ、漏えいも加速化してきた。
(4)米規制局の原発施設運転期間延長方針に伴い、汚染水漏えい件数と深刻度も増してきた。

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The Japan Times Thursday, July 3, 2014
Community / Hotline to Nagatacho
“Health studies explode the myth of the ‘safe’ nuclear power plant” by Brian Victoria

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