総会&「決断」上映会の開催報告(2024/8/3)
8月3日土曜日、総会&「決断」上映会を行いました。
大変多くの皆さまに参加していただき資料が足りなくなりご迷惑をおかけしました。
当日のプログラムをご紹介します。
決算報告
黒部ドクターのお話
※ページの最後にお話の原稿を掲載します。
映画「決断」*1の上映
サプライズとして友禅染絵作家 志田弘子さんの短編動画「その日はいつか」*2も上映しました。
アンケートにはたくさんの人たちが感想を寄せてくださいました。
「実際の皆さんの声、心に響きました。まだまだ終わっているわけではないことを強く思いました」
次号ニュースにおいて、もっと皆さんの声を紹介します。
会計報告2023年6月1日~2024年5月31日
寄付団体名2023年6月1日~2024年5月31日 敬称略
団体名のみ記載しています。多くの個人のみなさまからもご寄付をいただいています。感謝申し上げます。
黒部ドクターのお話「心と体の話」
黒部 信一(小児科医師)
黒部信一ブログ
未来の福島こども基金 代表
チェルノブイリ子ども基金 顧問
いわき・たらちねクリニック 顧問
〇あなたのこころは既に拘束されています。
誰に、でしょうか。何に、でしょうか。
それはあなたの母親が、受精後から千日、つまり妊娠中の10か月から出産後の2年間(合計千日=33か月)の間に、どんな感情やこころをもち、どんな暮らしをし、どう自分の子に向き合ってきたかに、拘束されているのです。
そこを基礎にその後の育ち方によって、味付けがされて成長します。その基礎の部分が今までは生まれつきと思われてきましたが、そうではなかったのです。
〇かなり以前から、少なくとも50年くらい前から「妊娠後期から乳児期にかけて、母親が恐怖感をおぼえるような出来事にあうと、その子は臆病になる」と言われてきました。
また胎教と言って、胎児に心地よい音楽を聞かせたりすることも勧められています。胎児を気持ちよくさせることでした。
〇小児科医内藤寿七郎さんが赤ちゃんを診察する時、赤ちゃんが笑います。目であいさつしていたのです。それを真似して私も赤ちゃんに目であいさつしています。泣いている赤ちゃんでもそっと私を見ていますから、目であいさつすると泣き止みます。
赤ちゃんに「愛されている」と感じさせることは、「気持ちが良い」と感じさせることです。これが生後7か月までは必要だとアメリカの小児科医ホワイト博士は言います。だからいつも赤ちゃんが気持ち良く感じる様にしてあげましょう。
スキンシップは赤ちゃんが喜ぶことが必須です。赤ちゃんをお人形さん(おもちゃ)にしてはいけません。触ったり抱っこしたりすることが赤ちゃんにとって気持ちの良いことになるようにして下さい。赤ちゃんの目を見て下さい。目が笑っているか輝いているのが良いのです。嫌だなという目つきをしていたり、無関心な目つきがよくないです。喜ばないのに触らないでください。
赤ちゃんはよほどの嫌なことでないと泣きません。じっと泣かずに我慢しています。繰り返されるとその内にあきらめてしまい、そして母親に対して期待をしなくなり、無関心になります。病気になって小児科医にかかる赤ちゃんの多くは、目が輝いていません。
〇私は今までに福島原発事故による子どもの被害について、甲状腺がんの多発と共に、アレルギー疾患と発達障害が増えていると言ってきました。それは母親による子どもの囲い込みと過保護・過干渉によると考えてきました。子どもに放射線の被害が及ばないことを願ってのことだと思うのですが、それが子どもの発達に影響しています。わかりやすいのがアレルギーです。
◎アレルギー疾患は、いかにも生まれつきのように言われますが、遺伝子と育てられ方でなります。遺伝子というのは、なり易い素質ということです。つまりなり易い素質を持っている子が何らかのストレスでなるのです。その原因の一つに母親か父親の強制にあります。
〇食物アレルギーは、多くは母親による食事の強制が主な原因です。3歳以下では必須食品だけにして、しかも食べるか食べないかは子どもの自由にして下さい。
食べたくない時に食べることを強制しないでください。繰り返されているとその内に嫌になり、最後には体が拒否反応を起こします。それが食物アレルギーです。
なぜ何でも食べなければいけないのでしょうか。なぜお腹が一杯なのに食べ残してはいけないのでしょうか。牛乳は飲まなければいけないのでしょうか。生野菜を食べなければいけないのでしょうか。バランスのとれた食事を毎食取ることが人間にとって必要なのでしょうか。そんなことはありません。
自然界には特定のものしか食べない生き物たちが一杯います。自然界の動物たちは、体に必要な栄養素が不足すると、それを食べようとします。肉食動物は、植物を食べない代わりに動物の内臓を食べます。内臓(特に消化管)にビタミン類が豊富に含まれているからです。また塩分が不足すると、岩塩などを食べに行きます。不足する栄養分を美味しく感じる様にできているのです。栄養学がなくとも、人類は10万年以上生きて、進化してきました。
自然界の動物たちは、自分の体に必要なものを必要なだけ食べています。食欲が満たされるとそれ以上は食べません。人間も本来はそうなっているはずです。大人でも食べたい物や食べたい時がいろいろ変わると思います。それが自然なのです。
☆私が別のグループで支援していた福島から避難した母子家庭の話です。多くの食べ物にアレルギーを持っていると母親から聞かされていた幼児が、母親が入院したために児童相談所に入所したと聞いたのですぐに問い合わせましたら、何でも食べていて元気ですという回答が来ました。母親から離されたら食物アレルギーが消えてしまったのです。
(☆大人の食べ物を不用意に3歳以下の子どもに与えてはいけません。体の発達が追い付かないので、病気になります。典型は蜂蜜による乳児のボツリヌス症です。)
(☆甘い食品は子どもには必須です。脳の代謝にグルコースが必須で、子ども特に年少ほど脳の発達が早く、大量に必要とします。食事の中に甘い食品を必ずいれましょう。嗜好食品(例えばチョコレート)は3歳過ぎてからにしましょう。味を覚えさせないことです。そればかり好むこと(固執すること)がありますから。
生の牛乳は微量ですが、腸から出血します。子どもに大量に飲ませてはいけません。幼児の貧血の原因の一つです。必ず沸かして冷まして下さい。出血以上に大量の肉類を食べている大人は貧血にはなりません。)
〇多くの食物アレルギーは成長と共に軽くなり、大人になると解消していきます。飢餓状態(戦後の日本も)では、食物アレルギーはありません。
◎アトピー性皮膚炎は、乳児から始まり、3~4歳とか、小学校入学後とか、思春期とか、大人になってからでもなります。いずれも素質を持った人がストレスで発病します。
アトピー性皮膚炎は、いやなことを我慢していると皮膚がかゆくなり、皮膚をかきむしるからなります。例えば、生後1~2か月では触ったり抱いたりされることを赤ちゃんが嫌がるとなります。それをやめてもらうだけで湿疹が出なくなります。湿疹ができたらステロイド軟こうでかゆみを抑えてかかないようにして治します。毎日2週間使って4、5日休みます。それで後続の湿疹ができなければ、1か月以内にきれいに治ります。アトピー性皮膚炎は赤ちゃんの肌の手が届くところに湿疹ができることが特徴で、オムツの範囲はきれいです。
◎同じストレスでも他の赤ちゃんはアトピー性皮膚炎ではなく、喘息様気管支炎になりますし、また別の赤ちゃんは、免疫が低下してRSウイルス感染症や溶連菌感染症、敗血症、髄膜炎、脳炎になったりします。その違いは赤ちゃんが両親から受け継いだ遺伝子によるものです。遺伝子の多くはスイッチが入らないと動きだしません。スイッチを入れるのがストレスです。遺伝子によってアトピー性皮膚炎になるのか喘息様気管支炎になるのか免疫低下になるのかなどに分かれます。
◎喘息様気管支炎になる子は、3歳過ぎるとストレスで気管支喘息になります。3歳頃には俗に反抗期といって自己主張が強く、言うことを聞かなくなります。その時に親の権力で無理に言うことを聞かせようとすると気管支喘息を発病します。この時期以後成人になるまでのいつでもストレスにあうと喘息が出ます。思春期に自分の思うように生きることができると一時的におさまりますが、成人になってからもストレスにあうたびに喘息発作を繰り返すようになります。
◎アレルギー性鼻炎や花粉症も同じです。よく花粉症は、今年は大丈夫とか、今年はひどいとか言いますが、それは花粉の多寡のせいではなく、ストレスの程度によるものです。
一般のアレルギー性鼻炎は、ストレスでなります。花粉症は花粉に敏感な人がなります。
免疫療法といって、花粉への感受性をやわらげる治療法がありますが、一時的効果で、ストレスがなくならなければ、別の花粉で発病します。国立埼玉病院にいた時に、喘息の子どもに減感作療法という免疫療法をしましたが、別の原因に変化するだけで、発作はおさまりませんでした。
☆アレルギー疾患には、私はどうしたらストレスを回避するか対策を教えて、自分の努力で治すことを教えます。ポイントは、こころ(気持ち)の持ち方を変えることです。嫌なことでも、無視するか、「まあいいや」と受け流すか、「そういうものなんだ」とか、「そういう人だからしょうがないさ」と気持ちの持ち方を変えることです。そのことを考えて頭の中に残さないことです。小学校上級から中学生以上には、この方法で効果があります。30歳までは、自分の気持ちを切り替えることかできます。しかし「相手が悪いのに、なぜ私がそれをしなければいけないのか」と思ってしまうと治りません。同じグループにいるある人があなたにとってストレスでも、他の人にはストレスでないならば、ストレスでない人の接し方、対応の仕方、気もちの持ち方をまねすればよいのです。いじめや意地悪は別です。
乳幼児期から小学校低学年までは、ストレスの原因を探して、それを無くすことです。ストレスの原因が家に無ければ、保育園や幼稚園、学校、学童クラブなどになります。いじめにあっていたのに、親に言わず、他の子の親から判ったということもあります。いじめ対策は父親の仕事です。いなければ身内や母親の友だちの男性が必要です。男が出ていかないと解決しません。ジェンダーに関してはまだ日本は発展途上国です。
◎卵アレルギーも、生後1歳前に生卵や半熟の卵、特に白身を食べさせるとなります。しかし、大人になると解消します。大人にはほとんどありません。3歳までは生卵や半熟卵を与えない方が安全です。卵は完全に火を通したものを与えましょう。
◎牛乳アレルギーも、生乳を飲ませるとなりやすく、牛乳を完全に煮沸するとなりにくいです。これも大人になると治るようです。牛乳を飲んで下痢をするのは、乳糖不耐症でアレルギーではありません。これは遺伝で両親のどちらかから受け継いでいます。これは治りません。
〇じんましんも食べ物アレルギーですから、治すことができます。嫌いなもの、好きでないものに出やすいです。
〇うるしかぶれも、催眠療法下で「うるしです」と言って水をぬると、かぶれます。うるしをぬって「水です」というと9割はかぶれません。じんましんも同じです。だから同じ物を食べても出る時もでない時もあります。
◎発達障害も同じです。遺伝的な素質を持った子が、そういう環境に置かれて、親との交流が無い育てられ方をすると、なると思われます。
待ち焦がれた子どもがやっとできた人、好きな人の子どもができた人、子どもが欲しくて妊娠した人は、そうなりません。子どもが生まれたら、子どもが可愛くて目が離せません。少しでも泣いたらすぐ反応します。
赤ちゃんが泣くことをうれしく思わない母親が問題です。そんな人は滅多にいませんが、いるのです。それは望まない子どもを産んだりした時です。元々子どもが好きでないのに、避妊しないために妊娠した人もそうです。レイプされた時にできれば24時間以内、遅くとも48時間以内に飲むと妊娠を防げる薬があります。でもまだ日本では入手のための情報が行き渡っていません。
だから、現在はなることを予防するよりも、なったことを早期に見つけて、早期に治療のルートに乗せてあげることが重視されています。
(男性優位社会なので、母親を責めたくないです。ピルで自衛するしかありません)
〇発達障害とは、普通の発達が達成されずにいる、またはまだ発達途上にある子どもです。それは主にコミュニケーションの障害と考えられています。母親の胎内にいた時は、母親と感情は一体ですが、生まれると離れます。だんだんに独立していきます。そして親との交流でこころの交流が必要です。心が通じ合い、交流することが赤ちゃんの発達を助けます。
そして人間であるためには、人間に育てられることが必要です。しかも人間と交流する、コミュニケーションをとることが必要です。赤ちゃんがこちらを見ます。そうしたらすぐ目で挨拶します。できるだけ笑顔でしましょう。
〇乳幼児精神科医渡辺久子さんは、それが大切な時期つまり、授精後から千日という時期を重要視しています。その時期に、良い母子関係をもつことが大切と言います。乳幼児精神科医牧真吉さんは、笑顔(表情)による交流と言います。言葉が生まれる以前の関係で、相互の交流が必要と言います。
赤ちゃんは、その目のあいさつの2秒の遅れを嫌がるといいます。赤ちゃんがこちらを見たり、泣いたら、すぐ目を合わせることが大切です。そして目で会話をします。言語でないことを2秒反応しないことは、長くて絶望的だと言います。2秒間も目を合わせても反応しなければ、大人でもおかしいと思います。
〇人は、人の遺伝子を持ち、人に育てられることで、人間になるのです。生物学的に人になるのではなく、社会的に人になるのです。赤ちゃんは、社会の赤ちゃんです。社会に育てる義務があるのです。社会の最小単位が家庭です。親は社会から赤ちゃんの子育てを任されているのです。保守派は自己責任論を唱えます。然し、それでは社会が上手く動かないので譲歩してきます。本来は子育ての費用や教育費はすべてを社会が負担すべきものなのです。
〇赤ちゃんは、生まれるとまず目で会話をします。そしていつも気持ちよくしてあげていると、親の愛情を感じます。赤ちゃんに声をかけると、自然に顔や目つきや仕草もその様になります。そしてそれが伝わります。赤ちゃんが目をあけたらすぐ目を見ましょう。いつも赤ちゃんの目を見て下さい。そして目で合図をします。心が思ったことが目に現れます。それが赤ちゃんに通じると、赤ちゃんが返事をしてくれます。それにまたこちらが反応します。
〇だから授精後何日目からかわかりませんが、赤ちゃんはだんだん感ずるようになり、母親の胎内で成長します。そして生まれ、母親や周りの人たちと交流し、成長していきます。
そして生後2年までに大体決まります。ここまでで子どもの性格の基礎が決まります。今までは遺伝的と考えられていたことでしたが、そのほとんどがこの時期に決まっていたのです。だから虐待を受けた人は、子どもに虐待をしてしまう連鎖をつないでしまうのです。
〇発達障害もこの時期に上手に育てることが必要なのです。でもどの子がそういう素質のある子であるかは判りません。そうでなければ、放っておいても自然に育ちます。逆に育っていない所を修正するには、年齢が低いほど治しやすいです。
発達障害は、コミュニケーションの「障害」というか、コミュニケーションがうまくできない子で、それはうまくリードすればできるようになるのです。それはうまく通じるところで、交流していきます。それを繰り返して成長をはかります。
〇大人になるのが今までは25歳と言われてきました。しかし、今は法律では18歳から成人とされて選挙権があります。でも飲酒喫煙は20歳からにされています。私から見ると、多くの若者たちは未だこどもです(でも「今の若いものは」とこぼすのはパピルスの時代からです)。
発達障害の子は大人になるのが30歳過ぎだと言います。それまでに治すことは、本人の意志が有れば可能です。そのためには、本人との交流が必要です。心かがつながらないと上手くいきません。
〇あなたのこころは生後2歳までの環境や育てられ方によってほぼ決まっているのです。
だから自分では記憶にないことです。この時期までのことは、普通は覚えていません。それは記憶するためには言葉プラスアルファが必要だからです。強烈な刺激があれば覚えているようです。私は4歳になりたて頃の東京山の手の大空襲を覚えていました。
〇人間として育てられなかった子どもたちを見ると明らかです。
私は狼(や猿などの動物)に育てられた子どもの話に強く関心をもちました。
それは、言葉を話さないし一人で歩けない赤ちゃんが、狼にさらわれて、狼の子どもとして育てられた時どう発育するかでした。
その子らがある時(多くは6~8歳くらいで)人間世界に連れ戻された時に、四つ足で走ることや口で食べること、ほえることなどから抜け出して人間になることができるのかということです。しかし、判ったのはほとんどの子が人間に戻れなかったのです。言葉を話すことができるようにはならなかったことです。
言葉を話せるようになった子も2人くらいいました。それも成長していき、その間に教育されてからでした。しかし、話せるのは人間の世界に戻ってから、言葉を覚えてから以後のことでした。
〇言葉を覚えてから猿にさらわれた子たちは、何をしていたかを覚えていました。
しかし過去を「人間語」では説明できないと言います。でも猿から毒のあるキノコを教えられています。写真の映像を、言葉なしでは表現できません。言葉で記憶しているのです。
・コロンビアで猿にさらわれた女性「失われた名前」のマリーナは、5歳になる直前に猿にさらわれました。しかし、猿にならずに一緒に生活していただけのようで、いろいろと記憶していました。それで連れ戻されて大人になり、口述で娘の通訳で本を出しました。それによると、猿語を人間の言葉に置き換えて話し、娘さんたちが翻訳し、人間にわかりやすい言葉で物語にしたのです。でも人間の言葉で記憶していたのではないでしょうか。
・猿にさらわれた日本人の大丸巌さんは、生後10か月過ぎにさらわれて、10歳で見つかり、人間界へ連れ戻されました。母のもとで教育を受け、その後家を飛び出し、東映の大部屋俳優になり、忍者の役やスタントマンのような仕事をしていたようです。
私の少年時代に少年向け月刊誌に大丸巌さんの書いた文章を読んだ記憶がありますが、現在は見つからず、周りの人が書いた文章が残っています。本人の文では(記憶でしかないのですが)、猿同士だけでなく動物たちとも会話をし、その方法は主に仕草と鳴き声や鳴き方だといいます。しかし、動物界を離れるとだんだん忘れて、通じなくなっていったと言いました。