コペンハーゲンフィル安井優子さんからのメッセージ

2011年3月に起きた 東日本大震災 の翌年、 「「昨年の大震災のときには離れた外国で胸を痛め、なにかこちらでもみんなと力を合わせてすることがないかと思いあぐねていました。チャリティーコンサートを開催することに決め、この1年で7回のコンサートを行い、チケット代を収益金として義捐金を集めました」とのメッセージとカンパを送ってくださった安井優子さん。

10年目の今年も、安井さんからメッセージが届きました。デンマークのコロナ事情も書かれています。合わせてお読みください。


東日本大震災から10年。コロナ禍になってから1年が経ち、コロナという未曾有の体験のなか、落ち着かない日々が続いています。

私の住むデンマークのコペンハーゲンで、昨年2020年3月26日に東日本大震災のためのチャリティーコンサートを予定していましたが、3月13日から4月14日までロックダウンとなり、やむなくコンサートを中止。4月半ばから社会生活は少しずつ快復したにもかかわらず、コンサート等の仕事は8月までお休みという、かつて経験したことのなかった長いステイホーム期間を過ごしました。

9月から11月末までは多くの変更やキャンセルに見舞われながらもコンサート活動は行われていましたが、再び感染者が増えて、12月9日から2回目のロックダウンとなり、2回延長して2月末まで厳しい規制が続きました。

3月から徐々に緩和されてきていますが、秋に延期の日時を決めた3月7日のチャリティーコンサートは集会人数の制限などから再び断念せざるを得ない状況になってしまいました。今ようやく舞台上のオーケストラの演奏者の人数を減らし、無観客でのライブ配信のコンサートが始まったところです。

緩和と同時に、街の至る所に無料のPCR検査会場が次々と設置されて、自主的に週2回の検査を推奨されています。72時間前からの陰性証明書を見せれば動物園などは入ることができるそうです。デパート、レストランやカフェなどはまだ開いていませんが、規模の小さいお店は人数制限を設けてオープンしています。ワクチン接種も始まりました。ただ気持ちのよい春を迎えて、街を出歩く人が増え、すでに再びコロナ感染者が増えてきているのが現状です。

そんな不安定な生活のなか、オーケストラの同僚が先日ふと「東日本大震災から何年経った?10年目くらい?今はどんな状態なの?」と日本のことを気にして話しかけてくれる優しさが心に染みました。

良いことも悪いこともいつまでも続かない、変化を柔軟に受け止めて、ただ目の前の「いま」を大事に過ごしていきたいと強く思う今日この頃です。

もしかしてコロナウイルスは地球の疲れから来ているのではないかと妄想することがありますが、その疲れが少し癒され、世界中の人々が一日も早く心穏やかに過ごせる日が来ることを願っております。

2021年4月  

コペンハーゲンフィル 第2ヴァイオリン首席奏者 安井優子

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